英国ランカシャー州ネルソンにあるシャツ地メーカー、acorn(エイコーン)を訪ねてきました。
ヨークシャー州に隣接したランカシャー州はかつては綿業が盛んだったようです。
それについては話がそれるので、あとで書かせて頂くことにします。

エイコーン(Acorn)は以前から何度も取り上げてきましたが、
ここは今でも全コレクションが英国内で織り上げられている数少ないメーカーです。
トーマスメイソンやデヴィッドジョンアンダーソンも1991年に伊アルビニ傘下に入って以来、
生産拠点の殆んど(全て?)がイタリアに移ってしまっていると聞きます。
※織機のチューニングは英国時代から培われてきたものです。
工場の統合によって、現在のエイコーンには2ラインあり
このウェアハウスには、クラシックな36inch巾の全コレクションが収まっています。
少しトレンド寄りの60inch巾のクラシックシャーティングのウェアハウスは、別になっています。

各国から受けたオーダーは、即日この場でカットされて発送されます。
約800柄のコレクション全てが、
こうして、カットサンプルとしてストックされています。
サンプルは全て手作業で作られ、こうしてストックされています。
これは今まで見てきた毛織物でも同じで、全て1つ1つ手作業で行なわれています。
左から長男クリス氏、現社長のジョン・チャトバーン氏、次男のジョージ氏。
社長のジョン氏は、トーマスメイソンの幹部も務めた人です。
そしてエイコーンは、1975年にジョンのお父さんが
トーマスメイソンを辞めて作った会社です。
下の画像は、昔の木製シャトル(杼)です。
これは後で書こうと思っているジョンケイの『飛び杼(ひ)』と
深く関わりが出てきますが、今でも、こんなシャトルを使った低速織機で織っている、
綿の生地ってあるのでしょうか?毛織物の世界では今でも使われていますが、シャツでは聞いた事がありません。
ウェアハウスの中の、ちょっとしたディスプレイが洒落てます。
奥に見える貝は、貝ボタンの材料となる白蝶貝(二枚貝)で真珠の母貝です。
真珠で最も高価と云われるピーコック(孔雀)カラーに輝いているのが、見て分かります。
あっ、また話がそれるので、それについてはまたの機会に。(苦笑)
そうこうしているウチにお昼になり、
近くのレストランに、ランチを食べに連れて行ってもらいました。
夏になると、レストランの前は、ビアガーデンスペースになるようですね。
ポカポカしていたので、昼からBeer飲んでご機嫌でした。
戻ってきたところの〝1ショット〟ですが、ウェアハウスであって、
お店ではないので、エントランスは簡素です。
知らなかったら気付きません。
今回の訪問で、クオリティサンプルや、
今後の『クラシックシャーティング』の展開の事や、
その他にも、裁断前に湯のしした時に気になっていたニオイの事や、
その他にも、物創りに対する熱い思いなどを聞かせて頂け、収穫の多い訪問となりました。

帰り道、違う道から駅まで送って頂き、
途中、トーマスメイソンの旧社屋横を通って下さいました。
今は賃貸ビルになってしまっているようですが、建物は以前のままだそうです。
気持ちの良い道ですね。
今回の訪問は、ヘンリープール経由で実現しました。
ヘンリープールのサイモン氏、並びにFtiのFさん、ありがとうございました。
冒頭で触れかけたランカシャー州の綿業の件ですが、
18世紀末~19世紀初にかけて起こった英国の産業革命の発端は、
ランカシャー地方とされています。では何故ウェールズとか、他の地方ではなく、
ランカシャー地方だったのかを考えてみると、そこに面白い事実が見えてくるんですよ。

英国で産業革命が起こる前は、
工場制手工業(マニュファクチュア)が全盛で、
その主要な生産物は毛織物でした。ヨーロッパ人の服の材料は
毛織物が中心でしたから、その当時の彼らにとってはそれで良かったのです。

ところが、商売として考えた場合はそうではなかった。
当時のイギリスの貿易相手国であるアメリカやアフリカの国々では、
綿織物が中心に売れたので、インドから綿織物を輸入して売っていたのです。
でも、もっと儲けを得るために、英国は自国で綿織物を生産しようと力を入れ始めました。

そんな時、産業革命の最初の発明、ジョンケイの『飛び杼』が生まれました。
それを起爆剤に、高度な紡績機械も発明され技術はどんどん進歩し、
飛び杼から更に36年後、ジェームズワットの蒸気機関が誕生し、
機械制大工業が確立された、という歴史があります。

そしてランカシャーに話は戻りますが、
それらの発明は当然のように綿工業に適用される事になります。
当時ランカシャーには、マンチャスターという綿工業を中心とする工業都市があり、
そこでは原材料の綿花を輸入し、
綿製品を輸出するための貿易港の街、リバプールがありました。
それで、最初の産業革命の恩恵を受けて発展したのがランカシャーであり、
今では、ランカシャー州が産業革命の発祥地と言われている、こういった経緯からだそうです。



八ッダースフィールドから電車で30分程の距離にある

坂道の多い街、ブラッドフォードの駅から車で10分ほど郊外に走ると、

英国らしい質実剛健なコレクションで知られるベイトマンオグデンのウェアハウスがあります。

ここは英国地だけを扱う生地マーチャントで、マニアックなコレクションが多いです。

というか、それが英国では、一般テーラー向けでしょうか?(笑)





バンチ展開される生地は、全て湿度管理されて保管されています。





オーダーの都度、生地は要尺カットされ、日本に向けて発送され、

約1週間で、通関も済ませて手元(日本)に届きます





レギュラー展開されている生地以外にも、シーズン毎の打ち出しがあります。





ベイトマンは、今回が初めての訪問ですが、BUNCH(バンチ)展開されている生地以外にも、

色々と面白い生地が多く、今回もホップサック調の白いジャケット地や、

ハーフミルドのホワイトサキソニーも買い付けてきました。

裏地のコレクションも、色鮮やかに豊富です。





右が、初めてお会いするオーナーのコリンズ氏です。

ボルドーカラーのジャケットを選ばれるとは、やっぱりマニアックです。(笑)










早朝のジョンレノン空港(リヴァプール空港)です。

昨夜、スペインから深夜に到着し、空港内のベンチで一夜を過ごし、

いよいよ今からハッダースフィールドに向かうのですが、中々バスが来ませんでした。

やっと来たこのバスで、マンチェスターに向かい、そこから電車に乗って八ッダースに向かいます。





ロンドンから北に300km弱、ヨークシャー地方に広がる幻想的な朝靄を車窓に見ながら、

ローカル電車でたどり着いた、嵐が丘で知られるヨークシャーにある、

英国服地の聖地、ハッダースフィールドです。

3度目の訪問となります。





駅前のホテル(画像の右手前)に早朝チェックインし、

待合せをしていたF氏に出迎えて頂き、朝食後ハッダースの町へ出ました。

そして今日の午後は早速お世話になっているベイトマンOgdenに向かうのですが、その前に、、





いきなり見たものは!

アウディ初の量産ミッドシップエンジン搭載の

プレミアムスポーツカー、日本でも話題の〝アウディR8〟でした。





このBar、駅の構内にあるバーですが、

実は、この初日の翌日、LEEDSからハダスに帰る電車を乗り過ごして、

目が覚めて降りた駅構内のBarなのですが、このBarがあったお陰で、氷点下の駅で、

1時間、外で待たずに、引き返す列車に乗れました。(汗)

でも何故か、店内のお客さんは列車には乗られず、どこへ行かれたのやら。。





StrongBowは、Beerというよりサイダーです。
仕事中も、昼夜と飲み続けた八ッダースの4日でしたね。(笑)

仕事が終わって飲んで帰った後も、買って帰って飲んでいたお気に入りでした♪










懐かしく思われる方も多いと思います、奴凧です。

子供の頃は物足りなさを感じて、ゲイラカイトばかりでしたが、

今になって揚げてみると、趣きがあって面白いのは、こちらの和凧です。

料理で云うと、ゲイラカイトは大味で、奴凧は繊細な日本料理のような感じがします。





風の力に任せてグイグイ揚げるゲイラカイトに対して、

こちらは、風と対話をしながらでないと、巧く揚がってくれません。

強い風が吹いてクルクル落下した時に、焦って凧糸を引っ張ってしまうと、

凧は余計にクルクル回って、あっという間に地面に落下、ゴッツンコしてしまいます。



逆に、力を抜いて凧を泳がせるというか、自由にさせてやると、

グルグルと回っていた姿勢は立ち直るので、そこから軽めに蛸糸を杓ってやると、

凧は再び、少しづつ上昇を再開します。



ですから常に凧を自由にさせてやるだけの糸のゆとりを考えておかないと、

クルクルと、見る見る内に、、凧は落下してしまうのです。

まるで僕たち夫婦の関係のようです。(笑)

どっちが凧かは微妙です。(爆)



今日はサビキ釣りもしたのですが、鯵もよく回って来たので、

久々に、サビキらしいサビキ?も楽しめました。

いつ見ても、ここの夕陽は綺麗です。

そして秋の雲、綺麗です。








Mさんが選ばれた紡毛(ウールン)フランネルでの仮縫。

今までのビスポクチュールでのオーダーでスタイルが完成していたので、

採寸はせず、いきなり仮縫させて頂いたのですが、予想通り、微調整程度で済みました。





袖山は割らずに、差し込みにしてタップリとイセを入れ、

垂れ綿もしっかり入れるのですが、仮縫の状態から出来上がりを期待させてくれます。





少しづつ、少しづつ馴染むウールンフランネルだからこそ、

今回は、ビスポクチュールより更に柔らかな仕立てであるナポリクチュールを

着慣らしてゆく覚悟で選ばれたようです。

ダキ落ち皺は消します。








建築を見て歩いていると、カタルーニャ音楽堂を過ぎて、

偶然にも結婚式と遭遇しました。





ブラックスーツの方はいらっしゃいません。

皆さん、ダークスーツ(ミッドナイトブルーやダークグレー)です。





ラテンっぽい?ベロアとエナメルのコンビシューズが個性的。





女性もゴージャスな装いです。





少女たちも〝妖精〟のようです。





唯一見掛けたブラックスーツは、極太シャドーでした!

右の女性のヒールが、ヌーディーで素敵です。





こちらもまた、ベロアとレザーでデザインされた靴。

その左奥の女性のサンダルも、光モノ系、

宴の席では華を添えてくれます。





日本では見かけない風景にうっとりしました。

この写真から、何かインスパイアを受けてもらえると嬉しいです。






クラシックとモダーンを融合したようなイメージをご希望のKさんの3ピース。

僕なりの解釈でKさんのイメージをチューニングさせて頂き、

今日の仮縫で、とことん確認をさせて頂きました。

特に、、ベストは期待大!です。(笑)



仮縫に没頭してしまって、

ご着用時の写真を撮り忘れてしまいました。

紫っぽい何とも言えないブラウンに、ライラックのストライプ。





Kさん、本日は仮縫に長ら~くお付き合い頂きまして、ありがとうございます。

回を重ねる毎に採寸時間は減り、遂には生地選びだけに!?

でも、、仮縫がなくなると、物足りませんか?



目的は仮縫ではなく、

自分のイメージ通りの洋服が、

毎回ブレなく仕立てあがる事だと思います。

ありがとうございました!楽しみにしていて下さいね!!

撮り忘れた写真は、出来上がったスーツ姿にてお披露目させて下さい。






Tさんのスーツは英国を意識し、硬目の本馬須毛芯を使って、

イングリッシュドレープ(バストドレープ)が出るようなカッティングにしました。

ですから実寸に対するゆとり寸も、イタリアンクラシックstyleよりも、多くとっています。



Vゾーンに見える襟付きベストの見え方をはじめ、

仮縫いの際に、全体の見た目のバランスをご確認頂いたので、

ご試着の際、「イメージ通りの仕上がり、背筋が伸びる着用感です」と言ってもらいました。

低めの2ボタンスタイルで、生地も含めてダンディーな仕上がりになりました。

胸ポケットも、ラペルに懸からないよう調整した箱ポケットです。





ウエストシェイプも強めですが、

バストドレープをゆったり稼いだせいもあって、

実寸に対するゆとり寸は14cmですが、ドロップ7となっています。





ウエストも、ベルトレスの〝ヘンリープール仕様〟のサイドアジャスター付きです。

これは、以前ヘンリープールの英国製ビスポークスーツをベースに、

ライセンス物を企画する際に取り入れた仕様と同じです。





ミッドナイトブルーのガッシリした英国地、

少々手強い着用感ですが、少しずつ馴染ませていって下さい。

この未完成のスーツ、Tさんが着て馴染ませて少しずつ完成に近づいてゆきますから。

※このスーツ、ハンドクチュールType1による、2ボタンのシングル3ピースです。






今日は、京都のKさんからご注文を頂いたパイプバッグの〝1度目の仮縫〟でした。





このバッグは、パイプを収納する為に生まれた道具。

主役はパイプであって、バッグはあくまで脇役でしかないという考え。

従って、バッグのデザインよりも、パイプを収納して開いた状態での見栄えを最優先する。

これが、今回のバッグ作りのイメージメイキングのベースとなっています。



デザインされている事を感じさせないデザインを目指して、

あくまで細部のデザインを目立たせるのではなく、全体のイメージを優先させます。

その為にはレザーのセレクトをはじめ、質感や作り込みも大切です。





仮縫は2度行ないます。

今日は細部に渡って話しこんだので、

次回の仮縫が楽しみですね。Kさん、楽しみにしてて下さい!



※ベルトを取り去って、位置を変えたり、、楽しかったです!!






2008年A/Wの東京展示会の案内をさせて頂きます。

今回も新宿PACOスタジオにて開催させて頂ける事になりました。

10月18日(土)と19日(日)の2日間です。



PACOスタジオは、お世話になっている写真家高橋和幸さんのスタジオ。

今回は、北京オリンピックのオフィシャルカメラマンもされている

高橋さんの、オリンピック裏話?も見逃せません!(笑)

どんな会になるのか、今から待ち遠しいです。

いやいや、、本題は採寸です!!



お越しの際には、事前にご連絡を頂けますよう、ご協力をお願い致します。

詳しくはマッセアトゥーラまで、直接お問い合わせ下さい。

それでは皆さま、宜しくお願い致します。

詳しくは、こちらをご覧下さい。