今まで汗抜きクリーニングとか、ウエットクリーニングと言われる類は色々と試しましたが、
『ナチュラルクリーン』(以下NC)の仕上がりは、全くの別物でした。
出会いはNHKの、確か、、ハイビジョンスペシャル番組(2001年頃)だったと思います。

実際に自分でお願いしてみたら、これがビックリ。
特にパンツは、素肌に触れる部分が多いので、履いた瞬間、「ん?」って感じでした。
全くベタ付きがなく、サラサラとした感触で、何より着心地が軽いんです。
初めてお願いしたスーツは、3プライのフレスコ素材でしたが、
張りやコシを保ったまま、なんともしなやかな仕上がりだったのです。

その秘密を探るべく、工房に潜入させて頂きました。

ちなみに、NCがウォータークリーニングを始められたのが10年前、、
それまでのNCは、ごく一般的なドライクリーニング店で、
千葉県内に30店舗を越す店舗を展開し、名実共に千葉県ナンバーワン店だったとか
ところが、ある繁忙期に従業員の方が倒れられ、
その原因がドライ溶剤による中毒症状の表れだったと知り、
それまでドライに対して何の疑問もなかった現会長の山田氏の挑戦が、
そこから始まったそうです。

それから10年、今なお進化し続けるNCの技術。
どれだけ特殊な事をされているのかと興味深々だったのですが、、
そこは家庭の洗濯の匂いのする工房、、呆気なく裏切られてしまったのです。

長い前置きはこのくらいにして、
1着のスーツが、どのようにして〝ケア〟されるのかを見てみましょう!

特別に配合されたオリジナルの洗剤を塗り込み、
超音波装置を使って、生地を痛める事なく、汚れを浮かせます。
パンツも、汚れ易い部分を入念に、
超音波で汚れを浮かせます。
このように部分的な処理を済ませてから、今度は全体の水洗いに入ります。
まずは、洋服が動かないようにマットで固定されます。
それから専用ネットで巻いて、包まれます。
上着だと3着、それを丸々洗濯機に放り込まれます。
洗濯機は普通のものだそうですが、独自のプログラムによって制御しているそうです。
使われる水は、NC独自の特殊な水だそうで、
これが、その水の精水装置です。
幾つかの過程を経て出来た水は、飲み水としても問題ないとか。
実際に触らせて頂くと、ヌルッとしているというか、柔らかい感じがします。
その水は、工房内に設置されたタンクに貯められてゆきます。
NCでは、全てこの水が使われています。
水洗いが終わると、
いよいよ立体プレスの工程に入ります。
使われるプレス機は、
主にアパレルで使われているドイツの『ファイト社』のもの物です。
洋服がふっくらと乾いていますね!
一旦乾いてしまうと、元に戻すのがとても困難なので、
濡れている間に、いかに立体的に仕上げて乾燥するかがとても大切だそうです。
パンツは、パンツ専用の立体プレス機にかけられます。
この次の工程、細部の仕上げでは、
せっかくの立体プレスのふわっとした風合いを損なう事のないように、
アタリを避けながら、細心の注意で行われます。
感性が求められる、この工程を取り仕切るのは、工房の責任者でもある及川氏。
この段階で仕上げの悪いものは、
工程をさかのぼり、やり直される事もあるとか。
ここまでくると、最終の乾燥工程、立体乾燥機にて完全に乾かされます。
そして最後に、仕上がりの確認工程。
そのチェックレベルは、それこそ縫製工場レベルです。
そうそう、云い忘れていましたが、NCでは、
作業に入る前に、全ての洋服が検品され、寸法まで測られます。
それぞれに、その内容が記されたカルテが作成され、
最終の検査の段階で、そのカルテと照らしあわされるのです。

ここまで念入りなチェック体制が整っていても、そこは人間のすること、
手元に届いた洋服が、万が一の際には、
窓口の松山さんが、キチンと対応して下さいます。
このクレームが、NCの技術を更に成長させる、、
そんな思いで、真摯な姿勢でクレームは受け止められています。
ナチュラルクリーンの皆さま!
お仕事の手を止めながら、色々とご説明頂きありがとうございました。


次回は、注目のレザー洗いです。