ミラノのクラシックなスタイル、アルスターコート。
既製服では見かけない技巧がふんだんに盛り込まれている貴族のコートです。
モータリゼーションの波が来る前、
男にとって、コートはステイタスシンボルでした。
思わず、その時代を偲んでしまいます!!


クラシックなアルスターコートには通常、
ドッピオプンティーニ(ダブルステッチ)を入れるところ、
ここは、播磨の貴族Oさん!のご希望でシングル、それもステッチの存在を
打ち消すかのように、エッジ際々のところに、丸く巻き込むように入れてもらっています。
そのせいか(成果!)とても柔らかな印象に仕立てあがっています。


生地の優雅さを演出する、ジーリ・リンボッカーティーの袖付け仕様です。
こんもりと福よかな盛り上がりが、何とも優し気でエレガント♪
ジャケットを着てもらうと更に立体的な表情に!


上襟のカーブからも、手の掛けようが伝わってきます。


上の写真と下の写真から分かるでしょうか。
コートのセンターには、内側にヒダを取る「ピエゴーネ」仕様です。
通常よりも贅沢に、ヒダの分量を多めに取られています。贅沢な生地をさらに贅沢に!

更にさらに贅沢に!
左右に深いタックをとることで、
歩くたびに優雅なドレープが生まれ、そして消え、
それを繰り返す度に、ゴールドの陰影が見え隠れするサマは圧巻です。


このキワキワのプンティーニ(ステッチ)が、
このコートの存在を、控えめに控えめに醸し出しています。
腰ポケットの袋地には、毛足の短いヴィンテージの別珍素材が冬の寒さから
Oさんをさり気無く守ります。サルトリアクレセントの河合氏の「さり気無い」思いやり。


その後談:
タイトルにあるように、このコート物凄い反響でした。
本日お渡しの後、まだ暑いからと、店内のトルソーに着せておいて良いよと、
お預け頂いたのです。夏の間2ヶ月近く、、

見る方、見る方、、
「金に輝いてるなぁ~」
「これ、スエードのコート?」
「すごいなぁ、すっごいゴージャス!」
「怖くて俺、よー着んわ! でも凄いオーラや!」
「ブルジョワやなー」、「頼んだら幾らするの?」etc・・・
確かに、もの凄い存在感を放っていました。

Oさん、2ヶ月間お貸し頂き、ありがとうございました。
目の保養にさせて頂きました♪