今朝の朝刊に、シリアのパルミラ遺跡のことが書かれていました。
チュニジアに始まったアラブの春はシリアにも及んで、
国内は混乱の一途をたどり、内戦に発展する勢いで事態は悪化しているようです。
今まで僕が、バックパックを背負って旅した国の中で、シリアは、その人柄に印象が残っています。

以前、イランについて書きましたが、
イスラムの国の人々は旅人に親切で、それまでのアラブのイメージを覆されました。
僕は2000年の冬、真夜中のダマスカス空港に到着し、
その古びた空港の片隅にダンボールを敷いて、一夜を明かしました。
早朝、タクシーに乗り込んで、200kmほど離れたパルミラ(遺跡)へと向かいました。
シルクロードの時代に、キャラバンサライの都市として繁栄したパルミラは、
シリア砂漠の中央に位置し、、世界遺産になっています。
その町のホテルや土産物屋が、今は全て閉められているそうです。
民衆の暴徒化で、遺産が盗掘されないようにとのこと。
遺跡のあらゆる展示場、展示品も封鎖されているそうです。
他にもアレッポを初めとする地中海沿岸の遺跡でも、同様の事が起きているとか。
それらの地は、当然、観光客どころか、誰一人として人影はないようです。
世界遺産を見たことより、人柄の思い出ばかりが残る国、シリア。
どこに行っても親切にしてもらった、あの彼らの国で、
そんな事が起きていると想像できません。

その歴史的背景から、頭では理解できるのですが、
実際に彼らと触れ合った僕としては、感情がついてこないんです。
彼らの将来はどうなるのか、、観光で経済が成り立っているこれらの町々。
そこに住む彼らが、彼らの観光資源である遺跡や文化財を破壊されてしまうと、
将来、治安が回復・安定しても、その後の生活基盤がなくなります。
それよりも、先ずはこれ以上、犠牲者が出ないことを祈るばかりですが、、
このブログを読まれた皆さんに、
報道されていないシリアについて、少しでも知ってもらえればとの思いです。

10日という短い期間でしたが、
彼らの国を、彼らの優しさやもてなしに包まれながら気ままに旅をさせてもらった思い出は、
目に見えた世界遺産より、彼らの気持ちそのものとして、僕の心に刻まれています。
今、特に治安の乱れが報道されている『ハマ』の町。
ここで食べた(おごってもらった!)ショワルマスーリー(サンドイッチ)は最高でした!
地中海側の町や、ヨルダン(アンマン)にも行ったので、他の写真も、またいつかアップしますね!!