Yさんのいつものシルエットで仕立てた今回のスーツは、

ウエストをギュッと絞った6Bダブルの2B掛け。

それに合わせるパンツは、股上が浅くピタッとしたヒップラインを持ち、

そのラインから裾まで、滑らかに、ゆったりと広がるバギーフレアなシルエットです。



このスーツ、英国でもイタリアでもない、

何とも例えようのない、『艶』を感じます。(フランスっぽい?エロイ!笑)

シルエットばかりか、生地がドーメル(DORMEUIL)のアイス(ICE)という事もあるでしょう。

もっと言うなら、Yさんの雰囲気もあるでしょう!(笑)





続いて、、同じくYさんのジャケットですが、

こちらは、ふんわりと丸く、かわいらしいイメージとのご希望。

上のスーツと比べて、お腹周りを8cmも大きく、ドロップ3で作ってあります。

肩巾も少し狭くして、マニカカミーチャ(シャツ袖)にしてありますし、

袖ボタンも、少しづつ離してカジュアル感を出しました。

襟も立てて着ることを想定して、カラークロス(上襟の裏側)は共地を使ってあります。



こんなジャケットは手ぶらで何も持たず、

荷物は全部ポケットに入れて出かけられるように、

内ポケットにも、いろいろな配慮をして仕立ててあります。(笑)

スーツのポケットに物を入れると、シルエットが崩れるから嫌いなのですが、

こういうジャケットは、無造作に着ながら、着手に馴染んだ頃の方が断然格好いいですね。





Yさんの愛車、アイボリーのミジェット(MG Midget)から、

こんなジャケットを着て降りてきたら、めちゃくちゃ格好いいですね。

英国車に英国製のツイードより、こういう英国〝風〟のジャケット方が粋に感じます。

アズッロにマローネ、この配色こそイタリアの代表、Eゼニアの内蒙古産の最高級カシミアです。

※アズッロ(Azurro:スコーンと抜けた、イタリアの空や海を表す青色)

※マローネ(Marrone:自然をあらわす栗〝茶〟色)






今日ご紹介させて頂く東京のBさんのスーツは、

マッドメン『MAD MEN』というアメリカのドラマにハマってます。」

「今回は、その中に出てくるスーツをお願いしようかなと考えているところです。」

というメールを頂いて始まった〝マッドメンProject〟です!





Bさんによりますと、このドラマの時代背景は、

「1960年代のニューヨークの広告業界のピーク時代で、

マディソン街にある広告代理店のエリートたちの生活を描いたお話で、

登場人物みんなのスーツ姿、ポケットチーフや帽子、食べるお店、酒の飲み方、

何だか、このドラマの何もかもがお洒落で、僕のライフスタイルにも通じるものがあって、

良い時代だったんだなって思います。」

「タバコはバンバン吸いまくるは、昼から会社でお酒を飲むは、、

ランチは2~3時間お酒飲みながら、なんて、そんなアメリカ広告業界のバブル期。

男性が皆んな、ジェントルマンな所が格好イイ!」

のだそうです!





こんな内容でメールを頂いたものですから、何とか再現できないか、、

頂いた画像をプリントアウトし、全てのバランスを寸法取りして専用の型紙を起こし、

今後の為に、専用型まで作ってもらって出来上がってきたのが、このマッドメン・スーツです!

フルオーダーでない限り、ここまでしない事の方が普通ですが、

それでこそ、ビスポークチュール、職人さんに感謝!

襟巾やゴージ位置、その角度ばかりか、

こんな事まで、できます!



有り合せのタイで、太すぎて似合ってないです。(汗)

おまけにトルソーのサイズより、ジャケットサイズの方が、かなりデカいです。




そして出来上がったスーツを見られたBさんから、

「メチャクチャかっこいいです。ぴったりイメージどうりです。」

「なかなか他にないですね、生地もかっこいいです。素晴しい組み合わせだ!」

「本当にありがとうございます。」

「今週の金曜日は、車のベントレーと雑誌LEONのイベントがあるので、

それに着て行こうかなと思ってます。」とお言葉を頂きました。

Bさん、こちらこそ何時もありがとうございます!






シングル巾(ハンドウィーヴィング)のハリスツイードで仕立てたセミチェスターコートです。

見た目に重厚感があり、いかにも重そうな着用感を想像しますが、

実際に着てみると、その感覚は一瞬にして消え、

そのギャップに驚かされます。





こんなクラシックでカントリーライクな生地を、

ウエストのシェイプされたグラマラスなスタイルにすると、

不良(ワル)っぽさが出ていい感じに思えるのですが、どうでしょうか?

こんな生地で、カントリータッチにしてしまうと、ある意味〝トゥーマッチ〟な印象に。。

このコートはYさんと、そんなイメージを語らいながら生まれてきたコートです。



※画像は、ジャケットとベストを着て頂いてからの、ご着用状態です。






以前お作りさせて頂いたスーツの上着を脱いで、黒いジャケットを着てもらったところ、、、





ディレクターズのパンツに、こんな感じのストライプ生地はどうでしょうか?

このパンツ、ベルトレスのサイドアジャスター仕様ですので、

このまんまフォーマルとして流用可能ですね。

普段着としても粋に着回せそう。






画像が、2度目の仮縫試作品です。

スーツの場合は、ジャケット&パンツという大枠が出来上がっていますが、

今回のパイプバッグは、イメージだけからの試作ですから、

思ってた以上に大変ですが、楽しいですね。





最初の仮縫いでは、全くの白紙から、

創造の世界だけで、試作・仮縫いをしてきました。

そして、それをベースに出来上がった今回の2度目の試作品で、

思い描いていたイメージを越えた、出来上がりを期待させるものが出来てきました。

Kさんと2人、頭フル回転でした、どうもお疲れさまでした!

そして、ここまで形作って下さった『Bellago』の牛尾龍氏に感謝いたします。

それではラストスパート、本縫をお願い致します。



※試作を手にとって使い勝手を考える、依頼主のKさんです。






東京のDさんの、ドーメルのロイヤル12です。

以前ご紹介させて頂いたMINOVAの生地と同じ組織を持ちます。

しかし、こちらの生地は、ラテンと云うお国柄の違いか?エロティックな光沢感です。(笑)





こちらもドーメルですが、アマデウスです。

ロイヤル12より細番手の糸を使っていて、さらに光沢感があります。

こんな普通のヘリンボーンですが、ここまで妖艶な感じが出せるのは、まさにラテン気質!?





ドーメルは、今までアマデウスだけの取り扱いでしたが、

今年の2008・A/Wコレクションから、

ロイヤル12とアイス、そしてスポーテックスの取り扱いを開始しました。

フルコレクションを見た中で、今年は特徴的な、この4種類に絞っての展開となります。






【Handsome Suits 2008!】

東京のMさんは、毎回スーツに名前をつけられます。

今回は、ロロ・ピアーナ130’Sのアズッロ(Azzurro)のスーツです。

ロロ・ピアーナのアズッロは、アズッロ中のアズッロ!と言わせるほど綺麗ですね。





このノーブルな光沢感はドレープ感も相まって、イタリア生地の中でもロロ特有です。

極細の経双糸×緯単糸でありながら、2/2の綾織なので、

経緯共に同じ密度(&太さ)で織られる為、

綾目がほぼ45度と、安定した組織を持っているので、

ソフトで柔らかいながらも、張り感のある生地に織り上がっています。

※2/2の綾織とは、経糸に対して緯糸が2本浮いて2本沈む、そんな綾目を持った組織です。



途中からマニアックな話題にそれましたが、只今上映中の

ハンサムスーツ(Handsome Suits)の監督は高校時代の同級生です。(笑)

かなり面白い人間が、自分が楽しむために?撮った映画ですから、かなり!面白いですよ♪








ヴィンテージのドーメルで仕立てたスーツ。

バッシバシのへヴィーな生地ですが、しっかりドレープ出てます。

これが小さい寸法なら、ここまでドレープも出なかったんじゃないかなと思います。

だって、僕のパンツ総丈と、Mさんの股下が同じくらいなんですから。(汗)

セミフレアーなパンツシルエットもいい感じで出てます。

※ちなみに画像の椅子も、50年前のヴィンテージです!(笑)





ヴィンテージならではの濃厚な表情です。

袖はフレアーカットにはせず、パンツのシルエットに合わせて、

肘巾と袖口の巾とのバランスで、若干フレアーっぽく感じさせるようにしてあります。





Mさん、撮影ご協力、どうもありがとうございました!






1年ぶりに、君津市のナチュラルクリーンさんにお邪魔してきました。
ナチュラルテイストに溢れたエントランスです。
※10月20日に伺ってきました!
日本全国から届く洋服(靴や鞄といった革製品も)は、
入荷次第データ管理するために、入荷日やお名前など、その全てが登録されます。
また、水洗い後の縮みをなくす(戻す)ために、寸法も測られます。
水洗いに入る前に、ポケットなど型崩れが著しい部分には躾けがかけられます。
1年前、この工程はありませんでしたが、
あるお客様のクレームが、この工程を入れるキッカケに。
「ナチュラルクリーンの成長は、お客様の声を大切にする事です!」
確かに、、1年前に伺った時より、工程が細分化され(追加され)ていましたね。
僕が着ていったジャケットを実際に洗わせて頂く事に!(笑)
ポケットに躾をかける事で、以前のように、洗濯袋に入れることなく、直接放り込み、
中田代表曰く、「この方が綺麗になるやん!♪」と。
今までだと、キューティクルが痛んで縮みが起きやすかったからだそうですが、
より水が進化したことでネットに入れなくても、
ポケットなどに躾をかける程度で、そのまま洗えるようになったとか。
冗談っぽく、「この方が綺麗になるやん!」って言われたので、
てっきり僕の私物だから、、みたいなノリかと(汗。。
ちゃんとした根拠があっての事で、
焦って損しました(笑。
洗いも、グルグル回すのではなく、
特別なプログラムによって、3段階で汚れを落とします。
お風呂上りの石鹸の匂いがします(笑♪
先ずは裏返した状態で、立体プレス機にかけて皺を伸ばします。
以前、コメント欄でやり取りしたように、如何に濡れた状態の時に復元するか、
それが水洗いの際、とても大切な意味をなすそうです。
確かに、自宅でシャツのアイロンを掛ける時にも同じ事が言える事を実感しています。

ロッキーのテーマソングを流し、ノリノリで現場に入られる中田代表!
部分的に、ハンドでプレス機の効果を補ってゆきます。
生地別の加工剤を吹きます。
これはドライクリーニングでも使いますが、
従来型の工程は、ウールでもモヘアでもカシミアでも麻でも、、
同じ溶材を使うのですが、それが仕上がり時の風合の違いの原因となります。
それは水洗いだと、なおさら顕著に現れますので、この見極めはとても大切になります。

言い添えますが、僕は何度も生地を織る現場を見に行っていますが、
どの生地も織り上がってからの整理工程が大切となり、いわば女性で言う化粧にあたります。

生地(女性)にとっての整理(化粧)は、とても大切で、
整理次第で、生地の表情(仕上がり)は、如何様にも変わります。
この辺りの違いを実感して頂くには、現物を見ながらすると面白いですよ
話がそれるので、それはご来店の方々への特典と云う事で!(笑←やらしっ!爆)
画像がコロコロ変わって、ごめんなさい。
またまた僕のジャケットですが、加工剤を入れ、及川さんに作業を代わって頂きました。
自分でやってみたのですが、簡単そうで、思ったように出来ません。
全く関係ありませんが、及川さんのポロシャツ、
僕の大好きなバーバリアンでした。
フレンチブルーが綺麗!
前夜に急に決まって同行のKちゃん、これまた自前のマッキントッシュで奮闘中です。
ある程度までシルエットが復元し、皺がとれれば、静止乾燥工程に入ります。
この工程も従来型では、一般的にタンブラー乾燥といって、
衣類を回転させながら乾燥するので、洋服の伸縮や風合いの変化を起こす可能性があります。
これまでの工程でも、かなり完成形に近づいているのですが、
ここからさらに、アパレル工場並みのプレス設備によって形成してゆきます。

この工程も、従来型のクリーニングでは一般的にシワを伸ばすだけにとどまるので、
平面的にぺッチャンコに仕上がり、せっかくのシルエットが崩れます。
もとから平面的で薄っぺらい洋服ならそれでもいいですが、
立体的に仕立てられた洋服となると、トホホです。
大切な部分はハンドで仕上げてゆきます。
この工程の有無で、かなり着心地を左右しますから。。
最終工程が完了して、検査工程があるのですが、
素人目に見て分からないような、わずかなシミやプレス不良が容赦なく返ってきます。
こんな程度でプレス不良って言ってたら、普通のクリーニングだとどうなるの?
そんなレベルで返ってくるから、たまに現場同士でひと悶着(笑。
画像は特殊染み抜きの工程を受け持つ山田会長です。
見ても気付かない、言われても分からないような、
そんなレベルでも、チェックに引っかかって容赦なく戻されてきます。
Kちゃんの、もう1着のマッキントッシュも、
彼の中では納得でしたが、最初の段階まで押し戻されました。
超音波で強力にコビリ付いた汚れを浮かばせるのですが、流石のKちゃんも泣きが、、
いや、超音波で洗剤が飛び散ってきての男泣き?かもしれません(笑。

暑い環境の中、大変な作業が続くのですが、
今回初めて自分でやらせてもらい、最初は楽しかった作業も、
最後の方は技術者の方に素直に、「お願いします!」って言いたくなりました。
今回は丸一日、お世話になりました。
色々と書きたい事が、山ほど沢山あるのですが、
特に印象的だったのは、「工房の中を見て貰えて嬉しい。」
「それは、ウチから出てゆく洋服を見るのではなく、どうしてそんな服になって出てゆくのか、、」
「その回答こそ、現場にある訳だから、現場を見てもらいたいのです。。」
今回も、貴重なお時間を惜しみなく頂き、ありがとうございます。
スーツを販売する立場として、この経験を生かして、
少しでも長く洋服を着続けてもらうことで、
少しでも環境保護に役立てれば。。


皆様、今日もありがとうございました。21時前、

最後のお客様が帰られた後、突然Takahashiさんから電話が、、

「今、大阪にいるんだけど、、花厨に来てるから、よかったら仕事帰りにブラッと寄ってよ。」

帰り道、もちろん遠慮なく寄らせて頂きました!オマケに自宅から30秒です!!

何だか不思議な感じがしますし、何より嬉しいです!

いつも美味しい串、ありがとうございます。

大阪のどこの串より最高です!

画像は、一ヶ月前の

花厨さんです。

http://blog.goo.ne.jp/paco-kaz/d/20081011



2度浸けお断りの大阪新世界の串カツ以外の高級串屋さんカテゴリーでは、

大阪の数ある串カツ屋さんの中で最高峰じゃないでしょうか!