開店前の午前中の採寸のあと、

開店時間まで、昼食のために外出しました。

その後、Yさんのスーツを引き取りに運送便の営業所まで。

店に戻ってスーツのチェックをし、月末の振込み処理をしていると、Yさんがご来店。

ナポリクチュールで仕立て上がったベーシックなスーツを早速ご試着。



途中、先日ジャケットのご注文を頂いたN女史にご来店頂き、

取り寄せていた裏地のご確認をして頂きました。

気に入って頂けて良かったです。



今回、ビスポクチュールからナポリクチュールに替えられたYさんですが、

その着心地に、ご満足頂けたようで何より嬉しかったです。

手でかがられたボタンホールもエレガント!





Yさんが帰られたあと、

コップを洗いに行ったり採寸伝票の整理をしていると

ちょうど終わりかけた頃に、京都のKさんがご来店下さいました。

バスト周りが気に入っておられるボレリのシャツをお持ち頂き、若干の調整をしつつ、

全体のバランスを考え、ご希望のゆとり量になるようピン打ちしてみました。





サイドダーツを入れないで欲しいとのご希望で、カッティングだけで程よい絞りを入れる事に、、

ピタピタのジャストフィットも格好良いですが、程よいユトリがあるのも、

ドレープが出てエレガントな雰囲気が生まれます。



打ち合わせと採寸が終わって、BEERを飲みながら談笑。

、、ん?打ち合わせ途中から!?(笑)

今日も1日、皆さんのお陰で楽しい時間を過ごさせて頂きました。






今日は、Sさんのサマージャケットの仮縫いでした。

胸囲114センチのSさんのドロップ寸は驚異的な12センチですので、

そのまま洋服にすると綺麗な服にはならないので、仮縫いでシルエットをご確認頂きました。

さらに、腰ポケットや胸ポケットの位置や大きさ、ボタン位置、

ラペル巾やゴージ位置など、バランス見て頂きながら、ご確認願いました。





ちなみにこの生地、タイトルにもある〝スコフィールド&スミス〟のもので、

シルク40%混の清涼感のあるホップサック調の生地です。

ホップサックとは、ビールの原料〝ホップ〟を入れておくザックリした麻袋に由来します。










イタリア語で四葉のクローバーの意味を表すクワドリフォリオ(Quadri Foglio)。
アルファロメオのスポーツモデルに与えられる名称としても有名です。



『四葉のクローバーを見つけた人には幸運が訪れる。』

この言い伝えは日本古来のものではなく、ヨーロッパに古くからあるものだそうで、

それを夏至の夜に摘むと魔除けの力があると信じられているとか。

クローバの葉は三つ葉(三位一体)が標準で、

四葉は十字架に見立てたところから、幸運の印といわれているそうです。



この後、金運と富をもたらすと言い伝えられる五葉(星型)を見つけましたが、

息子の太郎が喜んで持って歩いているうちにクチャクチャに、、

僕の幸運、、所詮そんなところです。(苦笑)



ここ最近、ずっと出来上がりのお渡しラッシュが続いていますが、

写真を撮らせて頂くのを忘れています。(グスン)

個性的なものは後悔、、Tさん、Dさん、Kさん、今度撮らせて下さいね。(笑)






4月以降に〝後継者問題〟について色々と書いてきた中で、

10名近い方たちからご連絡を頂きました。皆さんありがとうございます!

そして、個々に突っ込んだ話をさせて頂いてきました。



そんな中、3人の方が実際に歩み出されました。

その内のお1人から戴いたメールです。



柳瀬さん

いよいよ、明日からです。

昨日から緊張して、針を持っている夢ばかり見ています笑。

ここまで来れたのも、柳瀬さんのお陰です。

本当に感謝しても、感謝しきれないぐらいです。

柳瀬さんとの出会いは、自分が進みたい道への姿勢まで正してくれました。

この世界に入って感じた事、いずれ文章にしたいと思います。

その時はまた読んで下さい。

以下省略~



まずNさん、ご連絡ありがとうございます。

僕はただキッカケを作っただけ、お礼はBOSSやsakaiさんに!

気合入れて下さいよ~、これからがスタートです。

話し合った目標を見失わないように頑張って下さいね!

なま優しい世界ではないけれど、皆さんが真剣に頑張れば、Boitsには、

真剣に手を差し伸べてくれるメンバーがいます。みんな熱い(暑苦しい?)人ばかり。

僕も単なる道先案内人ではなく、姿勢まで正して頂けるとは幸せ者です。(笑)






今回見た中で最も印象的だったガウディー建築〝カーサ・バトリョ〟です。

見た目のインパクト(表面的な事)ではなく、

最も人間との関わりを感じた設計(内面的な事)だったからです。





ピカソにしろガウディにしろ、その奇抜さから、

ついつい、見た目で好き嫌いが語られがちなのですが、

表面的ではなく、どうして彼等がそんな表現をしたのか考えてみると、

もっともっと深いものを感じる取る事ができて、とても面白いと思うのですが、、



このカーサ・バトリョも、ガウディがどれほど住む人の立場で考えて設計したか、

それが見えてくると、単なるデザインだと思っていたガウディ建築が、

現代の〝エルゴノミクスデザイン〟に通じるものであり、

またそれが、有機的な機能美(芸術)だと言われる所以だという事にも気付くと思います。





全てが高次元に、そしてハイセンスにまとめられています。

余りの衝撃に見入ってしまって、写真すら撮り忘れました。(苦笑)

数あるガウディ建築の中で、僕が今回最も衝撃と影響を受けたのがカーサ・バトリョでした。








2001年の夏に、僕はイランに行きました。
フセイン政権が崩壊(2003年4月)する前の事ですから、
個人旅行が誰かに迷惑をかける事になるなんて、全く考えませんでした。

ただ僕は、未知で神秘的な感じがする国だって云うだけでイランに向かいました。
どんな国なのか、実際に自分の眼で確かめてみたい、、

最近のニュースを見るたびに、イランで出逢った人たちのことを思い出します。

タクシーに乗り、行き先を〝レストラン〟だと伝えると、
我が家に来て、俺の家族と一緒に晩ご飯を食べないか?なんて誘われ、
食べきれない料理や果物を出してくれ、お土産まで持たせてホテルまで送り届けてくれたり、

週末の夜、河原を歩いていると、
ナイトピクニックを楽しむ家族連れから呼び止められ、
これでもかというほどサンドイッチを振舞ってくれた上に、お土産まで、、
・・・イランでは、週末になると家族総出でナイトピクニックを楽しむ習慣があるようです。

また、大きなリュックを背負って歩いていると、
車を止めて呼び止められ、目的地まで乗せてってくれたり、、

彼らの国を旅していると、こんな事は日常茶飯事のように起こります。
ですから、ニュースでイランの事が報道されるたびに、そんな彼らの事を思い出し、
思い出とのギャップに複雑な気持ちになるんですよね。

日本では、凶悪な犯罪を報道で知っても、
僕たちの生活は大きく何かが変わるわけではありません。
しかしそれがイランの報道となると、彼らの普通の生活を知る由もなく、
その報道だけが、イランと云う国のイメージとなって植えつけられてしまうと思うのです。

7年前のイランのイメージが崩れようとしている自分と、
7年前の彼らの優しさや笑顔を忘れたくない自分との葛藤に、複雑な思いが募ります。

今まで行った外国で、最も人の優しさに触れる事ができたのがイランです。
願わくば、もう一度あの時の思い出を確かめに行ける日を楽しみに、、

イスファハンにあるスイオセ橋周辺に広がる公園では、皆んなピクニックをしています。
これが夜になると、凄い数になるんです。
この家族も20人くらいの大所帯でやってきてました。
晩ご飯を食べた後(21時頃)でしたが、いっぱい食べさせてくれました。(苦笑)
画像の左下に、サンドイッチにする前のパンがあるでしょ!(笑)
シラーズにある、サァディー廟です。
中東からアフリカ、インドなどを放浪した抒情派詩人、サァディーが眠っています。
季節的にか、至るところで花が咲き乱れていました。
同じVESPA(PX200)に乗ってるって言うと、「乗れ乗れ!」と言って勧めてくれた少年。
それにしても熱い! 吸汗速乾に優れたノースフェイスのTシャツが、
汗を掻いた瞬間に乾くくらい、、ヘロヘロです。。
歩道でサッカーをしていた人たちに写真を撮ってくれと言われ、
すると、何故か近くを走っていたおじさんが寄ってきて、俺も撮ってくれ!って。(笑)
どうですか?すごく緑が多いでしょ!
対面道路の間には、こんな大きな歩道があるんです。
イスファハンからシラーズに向かう長距離バスに一緒に乗った人たち。
バスに乗る前にピクニック?してたのですが、
ここでも、またまたサンドイッチを振舞ってもらいました。(苦!)
あるイラン人家庭に招かれた際の1コマです。
この家族、めちゃくちゃファンキーで明るい皆さんでした。
おじいちゃんおばあちゃんと、その2人の娘さんと、その家族が一緒に住んでいる
大家族で、みんな仲良しでした。
ここでも食べ切れんばかりのサンドイッチと果物を出してもらいました。
ちなみに、イランは真水が飲める国なんです!(驚)
街のいたるところで水が飲めるので、皆んなMyカップ持ってます。
思い出の時間を過ごさせてくれた彼らへのお礼として、
日本で殆ど紹介されてない彼らの素敵な一面を知ってもらえれば、、
これはこれで、イランの1つの素顔であることが分かってもらえると嬉しいです。



当初の出張予定では、アイルランドのベルファウストにある
アイリッシュ・リネンのミル、スペンスブライソンへの訪問予定だったのですが、
急にキャンセルになり、飛行機の乗り継ぎの関係で、急遽、週末をバルセロナで過ごす事になりました。
出国前の2夜は、この手配のために、寝させてもらえませんでした(汗。
そんな事はさておき、、良かったですよ、バルセロナ。

アントニ・ガウディが残した建築物を直に見ることを通じて、
彼が何を見て、何を考えて仕事をしてきたのか。その結果、なぜそのような形が生まれてきたのか?
彼の、仕事に対する、執拗なまでの情熱を全身全霊に浴びさせてもらいました。

感動的な音楽を聴くと、何故か涙が出る、、
そんな経験をされたという方もいらっしゃると思いますが、
それと同じように、僕もガウディの建築物を見ながら、何度も涙が浮かびました。

スペイン生まれのピカソがパリに移るまでの、まさに青年期を過ごした街もバルセロナです。
ガウディにしろピカソにしろ、ちまたでは奇人変人扱いされる彼らですが、
実際にガウディの建築物や、ピカソのデッサン画を見れば、
驚くほどの基礎力に納得せざるを得ないハズです。
ピカソ美術館といい、今回突然降って湧いたバルセロナでの滞在は、
感動の連続、かなり感動的でした。

詳しくは、後日あらためてこのダイアリーでお伝えするとして、
それではた~っぷり、、画像を見て下さい!

カーサ・ミラ(世界遺産)   ※カーサ(CASA):住宅
パルク・グエル(世界遺産)  ※パルク(PARC):公園
カーサ・バトリョ(世界遺産)
サグラダ・ファミリア(世界遺産)日本語では聖家族教会
コロニアグエル教会地下聖堂(世界遺産)
コロニアグエルの町並み(世界遺産)
カタルーニャ音楽堂(世界遺産) ※これはガウディの作品ではありません。
世界遺産的な!洒落た〝シルエット〟ディスプレイです。
さすが!芸術の街、バルセロナですね!
ちなみに、バルセロナを州都とするカタルーニャ地方は、
マドリッドを州都とするカスティージャ地方とは全く異なる伝統と文化を持っています。
カスティージャに対する対抗心はとても強く、
フランコ政権下、カタルーニャ語の使用が禁じられていた時代でも、
カタルーニャ人たちは、密かにその言語を伝えてきたそうです。それを証拠に、
今でもカタルーニャ地方では、スペイン語とカタルーニャ語が並記され、使われています。
誇り高きカタルーニャ人だからこそ、
独自の文化・芸術を生んだのではないでしょうか?
ご記憶の方もいらっしゃるかと思いますが、スペインのマーチャント、
独特のコレクションを誇る〝Gim Tex〟ジムテックスへの訪問は無理でした。(苦笑)



昨日のホワイトリネンのジャケットの件で、

今日お電話を頂いた主は、ご自身でも縫える職人さんで、

今はアパレルでデザイン業務を含むパターンのお仕事をされている方でした。



ご自身のデザイン感性をもっと高める為には、

自分自身の洋服を、違う人の目(感性)で作ってもらう事も必要でしょ!



そんな風に思われ、色々なテーラーを探し、話してみられた中で、

マッセアトゥーラで仕立ててみて欲しいなと、、

それでお電話を頂いたようです。

嬉しいですねこういうの、、最高に嬉しくて、感無量です!



話は変わりますが、、

今日は、最近流行している?複合混紡素材でご注文を頂きました。

麻×シルク×モヘア×ウールと、異素材のテンコ盛り。

出来上がったジャケットは、いずれまた!






ホワイトリネンのジャケットは夏の礼装の最高峰です。

これを着崩して、いかに気取らずに着るか、、

いい感じに〝クタッ〟となってきているので、軽~くプレスをかけてみました。

前回のダイアリーで紹介した麻シャツを合わせて写真を撮りました。





フォーマルなら、黒いパンツを合わせるのですが、

僕の場合〝楽礼装!〟コードレーンなどの色物パンツを合わせ、

足元には、ホワイトバックスを〝気品高くカジュアルに!〟コーディネイト。

こんなジャケットを着て行けるような洒落たコンサート、どこかでやってないかなぁ~♪






麻のシャツって、半袖やザックリした長袖なら見かけても、

ネクタイを締めて着られるようなシンプルな白い長袖のシャツってあまり見かけません。

僕は昔っから、半袖じゃなくって長袖をロールアップして着る方が好きなので、

ほとんど、半袖のシャツって持ってません。



例えば、ボタンダウン(BD)で仕立てた麻の長袖のシャツ。

タイドアップスタイルなら、

霧吹きしてビシッとプレスをかけて、襟のボタンを留めずに着ますし、

ジャケットスタイルで着る時には、

襟のボタンを留めて、プレスせずそのまま着ています。



もちろんジャケットを着ずに、ジーンズや、麻のイージーパンツに合わせても

それなりの雰囲気が出るので、無精者にももってこいです。(笑)



酔って帰ってきても、風呂場でバシャバシャって洗って、

ずぶ濡れのまま干しておくと、翌朝には麻独特の皺を残したまま乾いてるんですよ~。

着てみて思うのは、何よりも、メチャクチャ気楽(着楽)なんです!





麻にはラミーとリネンがありますが、これらは全く別の植物から作られる別物です。

ラミー(苧麻)は多年草で、亜熱帯から熱帯の地方にかけて栽培され、

リネン(亜麻)は一年草で、寒冷な地方で栽培されます。



濡れた時に強度が高まる麻は、吸水速乾性に優れ、

強い張りが肌と一定の空間を保つので、体に張り付かずベトつかず、

その清涼感のある着心地に加えて、麻独特の光沢感が見た目の清涼感もくれます。



どちらも、ほぼ共通の特性を備えていますが、

ラミーは太くて長い繊維で、天然繊維の中で最も強度があります。

それに対してリネンは細くて短い繊維で、ラミーよりしなやかな風合いです。



麻に対して取り扱いに不安がある方や、初心者の方には、

まずは普段使いでガンガン着ていただき、麻素材に慣れて頂くためにも、

リネンと同じ吸水速乾性があり、リネンより光沢や強度に優れるラミーをお試し頂きたいです。



最初はチクチクするし、張りも強くてゴワゴワしますが、

何度か洗っているうちに、いい感じにクッタリしてきて、雰囲気が出てきます。



リネンとラミーの性格を足して2で割った素材もお勧めですが、

出来ることなら足して2で割らずに、2のままであって欲しかったと思います。(笑)