お客さまが雑誌に

マッセアトゥーラのお客さまで、
僕が集めている「ルネ・ラリック」や「バカラ」の
アンティーククリスタルを扱っているお店のオーナー鈴木さんが、
雑誌「Nile’s NILE」に掲載されましたので紹介させて頂きます。

鈴木さんのお店:ギャルリー・オルフェ(http://www.g-orphee.com

参考:「Nile’s NILE」は限られた読者だけに、
ダイレクトに自宅発送されるライフスタイルマガジンです。
従って一般の書店には置いてありません。(1冊1,500円)

以下、掲載内容を載せておきます。

暮らしのなかで芸術を愛でる喜び   (掲載雑誌画像はこちら)

鈴木 尚志
ギャルリー・オルフェ

アンティーク・コレクション。始まりは、最初の一個から

鈴木尚志氏が営む二軒のアンティークショップ、
「ギャルリー・オルフェ」と「アンティークかとう」は、
骨董店が軒を連ねる京都・新門前通りにある。

「ギャルリー・オルフェ」は、1920~30年代のアール・デコと
呼ばれる時代に人気を博したフランスの天才ガラス工芸家、
ルネ・ラリックの作品をコレクションしたショップ。

「アンティークかとう」はガラス製品や陶器、コスチュームジユエリーなど、
1900~50年代を中心とする、20世紀の装飾美術を扱う店である。

「もともと父がやっていた頃は和ものの店でした。
私もその家業を手伝っていましたが、何度か海外に出かけるなか、
15年ほど前にルネ・ラリックと出会ったのです。」

「作品そのものが持つ魅力に引き込まれると同時に、
それが”ちょっとがんばれば買える値投”であることに、
つまり作品とお金の価値がぴったり一致したことに感動しました。」

「自分自身が『好き』という気持ちからのめりこんだラリックを
ビジネスにできるのは喜びだ、そう感じたのです。」

店の片隅に二点、三点と置いたラリックが売れていくなか、
鈴木氏は次第にアイテム数を増やしていき、
十年前に店を現在の形態に改装したそうだ。

「好きだから、ラリックを生業にしている」と言う氏だからこそ、
そのコレクションは同じ感性を持つ客を惹きつけたのだろう。

「アンティークは後生大事にしまっておくのではなく、
生活のなかで使えるものであることが大切です。」

「たとえばラリックの花瓶に花を生ける、
バカラのワイングラスでお気に入りのワインを味わう・・・
生活の一コマにアンティークがあれば、それだけで幸せを感じるものです。」

「とくに入門者の方は、高い値段や名前に惑わされず、
自分が使ってみたいと思うものを何か一つ、
少々無理をして購人してみることをお勧めします。」

「使うことによって、もっと奥にある楽しみを感じることができるはずです。
そうなれば、次は鉢を買ってみようかな、リキュールグラスにしようかなと、
楽しみが広がっていくでしょう。」

一時、お預かりしている物、それがアンティーク

最近女性層を中心に、アンティークへの関心が高まっているという。
殺伐とした日常にあって、せめで家の中では安らぎを感じていたい。
そんな気持ちが幸福感を与えてくれるアンティークヘと何かっでいるのかもしれない。

「生活の安らぎを古い物が持つ温もりに求める人、
現代のインテリアにもマッチする斬新なスタイルを古い物に求める人、
アンティークに向かう気持ちはさまざまですが、
金持ちの道楽的要素は少なくなってきましたね。」

「いずれにせよ、思想があるからこそ、コレクションは楽しいのです」
と鈴木氏は言う。

また、時代を経て受け継がれてきたアンティークには、
現代の大量生産によって作られる画一的な商品にはない味わいがある。

鈴木氏によると、「アンティークには、その物が生きてきた時代の風や空気が感じられます。」
「職人の手によって一つ一つ創り上げられた、心意気のようなものも感じられます。」

「だからアンティークを手に収ると不思議と
『どんな時代に生まれたのだろう?』『どんな人が使ったのだろう?』
といった素朴な疑問がわいてくるのです。」
「『好き』が高じて、アンティークに潜むバックポーンを研究する人も多いんですよ。
それも、アンティークをコレクションする楽しみの一つだと思いますね」とのこと。

お話をうかがうにつれ、アンティークが身近な物に思えてくる。

さらに鈴木氏が指摘するのは、
日本人には「家が落ちぶれたときに売りに出される古い物には、
その家の怨念がこもつている」という感覚が、まだまだ強いこと。
この風潮が古い物の流通を妨げている点が否めないという。

「でもね、そうではないんです。物は誰のものでもありません。
一時期、自分がお預かりしているものなのです。」
「自分の好みが変わって、あるいは受け継いだ子係が不用だと感じた場合などは、
次の方にお金と引き換えに預かっていただく。」
「こうして、物は人の手から人の手へと渡り、誰よりもずっと長く生きるのです。」
「こういう欧米流の感覚を持たないと、古い物は根付かないでしょう」と鈴木氏。

なるほど、「人類の遺産」とも言うべきアンティークを自分の物にしよう、
などというのは不遜な考えだとわかる。
あなたも一時期、アンティークの″預かり主″になって、
暮らしの中で芸術を愛でる喜びを存分に味わってみてはいかがだろう?